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不動産投資の利回りとは?計算方法・平均・理想だけで判断しないポイント
投資判断 約21分

不動産投資の利回りとは?計算方法・平均・理想だけで判断しないポイント

結論:この記事の要点

  • 1 利回りは表面利回りと実質利回りを区別して判断することが重要です
  • 2 東京23区の中古マンションは表面利回り3.3%〜4.0%前後が一つの目安とされます
  • 3 高利回り物件は空室リスクや修繕費増加など見落としがちな条件を伴う場合があります
  • 4 必要利回りは自己資金や借入条件から逆算して設定するのが基本です
  • 5 築5年以内の中古物件は利回りが控えめでも維持費負担が少なく安定しやすい傾向です

高利回りか、安定重視か。不動産投資の利回りは、この二つのバランスをどう見極めるかで判断が分かれます。利回りには物件価格に対する単純な収入割合を示す「表面利回り」と、経費や空室を差し引いた「実質利回り」があり、両者を混同すると赤字転落のリスクを見落としかねません。本記事では両者の違いと計算方法、2026年時点の平均・理想的な水準、そして数字だけで物件を選ばないための注意点を順を追って解説します。



不動産投資の利回りとは?

利回りは投資額に対する年間収益の割合で、表面と実質の違いを理解することが第一歩です。

物件情報サイトを眺めていると、「利回り8%」「表面利回り10%」といった高い数字がよく目に飛び込んできます。この数字が何を意味するのか、なんとなくは分かっていても、正確に説明できるという方は意外に少ないのではないでしょうか。まずは不動産投資における利回りの正体から見ていきましょう。

利回りの基本概念

利回りとは、投じた資金に対して1年間でどれだけの収益を得られるかを示す割合のことです。不動産の利回りとは、物件価格に対する年間家賃収入の比率を指し、パーセンテージで表されます。たとえば2,000万円の区分マンションを購入し、年間家賃収入が160万円あれば、単純計算で利回りは8%です。株の利回りが配当金を株価で割って算出するのと同じ発想であり、投資不動産の利回りも「いくら投じて、いくらのリターンを生むか」を測る物差しといえます。

ただし不動産投資の利回りが株式投資の利回りと違うのは、収益が家賃という比較的安定したキャッシュフローで構成される点です。株価のように日々値動きするわけではありませんが、空室が出れば収入はゼロになりますし、修繕費がかさめば手取りは目減りします。つまり利回りという一つの数字の裏には、稼働率や維持費といった変数が隠れているのです。この点を意識できるかどうかが、物件選びで失敗しないための最初の分かれ道になります。

表面利回りと実質利回りの違い

不動産投資の利回りには、大きく分けて表面利回りと実質利回りの2種類があります。表面利回りとは、年間家賃収入を物件価格で割っただけの数値で、計算式は「年間家賃収入÷物件価格×100」です。広告やポータルサイトに掲載されている利回りは、ほとんどがこの表面利回りに当たります。


項目

表面利回り

実質利回り

計算対象

年間家賃収入

年間家賃収入 - 経費

信頼性

簡易的な目安

現実に近い収益性

主な用途

物件の一次選別

最終的な投資判断

※広告で見かけるのは主に表面利回りですが、実際の収支は実質利回りで計算しなければ赤字リスクを見落とすため注意が必要です。

一方の実質利回りは、管理費や修繕積立金、固定資産税、火災保険料といった諸経費を差し引いたうえで計算する、より現実に近い数値です。計算式は「(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入諸費用)×100」となります。同じ物件でも、表面利回りが8%あった案件が、実質利回りでは5%台まで下がるケースは珍しくありません。広告の数字だけを見て「高利回りだから安心」と判断してしまうと、後から経費の重さに驚くことになりかねないのです。実質利回りは、いわゆるNOI(純営業収益)を物件価格で割ったNOI利回りとほぼ同じ考え方に基づいています。実質利回りをベースに判断する習慣を持つことが、赤字転落を避ける第一の防波堤になります。

想定利回りについて

物件資料の中には「想定利回り」という表記を見かけることもあります。これは満室を前提として算出した利回りで、現状すでに満室で稼働している物件の利回りとは性質が異なります。特に新築物件や販売直後の物件では、まだ実際の入居実績がないため、周辺相場の家賃を仮定して算出した想定利回りが提示されがちです。

想定利回りはあくまで理論値であり、実際の稼働率次第で数字は上下します。たとえば想定利回りが7%と書かれていても、入居率が想定より20%低ければ、実質的な利回りは5%台まで落ち込む計算になります。想定利回りを見る際は、その根拠となる家賃設定が周辺相場と比べて妥当かどうかを必ず確認しておきたいところです。

2026年の不動産投資における利回り相場

2026年の利回り相場は都心3〜5%、地方8%超が目安で、地域差の理由を知ることが物件選びの第一歩です。

地域別の利回り相場

不動産の利回りは、立地によってかなりの幅があります。東京23区の中古ワンルームマンションは表面利回りで3.5〜4.5%程度に落ち着くケースが多く、大阪や名古屋といった主要都市でも4〜6%あたりが目安になります。一方で地方都市や郊外エリアになると、同じ築年数・同じ間取りでも7〜10%を超える物件が珍しくありません。これは単純に「地方が儲かる」という話ではなく、物件価格が安い分だけ利回りの数字が跳ね上がりやすいという計算上の性質によるものです。空室が出たときの影響も、都心と地方では大きく違います。人口が多く賃貸需要が安定しているエリアほど、次の入居者がすぐ決まりやすく、利回りの数字が絵に描いた餅で終わりにくい傾向があります。逆に地方の高利回り物件は、一度空室になると次の入居まで半年以上かかることもあり、その間の家賃収入がゼロになる点を織り込んで判断する必要があります。「利回りが高い=お得」と単純に考えず、なぜその地域の利回りが高いのかという背景まで確認する視点が欠かせません。

物件タイプ別の利回り傾向

物件タイプによっても利回りの水準は変わってきます。区分マンション(ワンルームなど1室単位の投資)は都心で3〜5%程度、一棟アパートは6〜8%程度、一棟マンションは5〜7%程度が2026年時点でのおおよその相場感です。木造アパートは建築コストや取得価格が比較的低いため利回りが高く出やすい一方、法定耐用年数(木造22年)が短く、融資期間が短くなりがちという事情も抱えています。一棟マンションは鉄筋コンクリート造で耐用年数47年と長く、融資が組みやすい反面、物件価格が高いため利回りは控えめになります。区分マンションは修繕やメンテナンスの負担が管理組合との分担になる分、単身者向けの需要が読みやすいというメリットもあります。「利回りだけを横並びで比較して選ぶ」と、こうした構造の違いを見落としがちです。物件タイプごとの利回りの出方には理由があると知っておくだけで、数字への向き合い方が変わってくるはずです。


物件タイプ

利回り相場

特徴・注意点

区分マンション

3〜5%

賃貸需要が読みやすく管理負担が少ない

一棟アパート

6〜8%

取得価格が低く高利回りだが融資期間に注意

一棟マンション

5〜7%

鉄筋構造で耐用年数が長く融資が組みやすい

ご自身の資金計画と照らし合わせ、それぞれの物件が持つ構造上のメリット・デメリットを把握した上で比較検討することが重要です。

築年数による利回りの変化

築年数は利回りに直結する要素です。新築や築浅の物件は物件価格が高い分、表面利回りは3〜4%台にとどまることが多く、築20年を超えたあたりから利回りが6〜8%まで上昇するケースが目立ちます。これは建物の価値が経年で下がり、価格が下落する一方で、家賃の下落幅はそれほど大きくないためです。ただし築30年、築40年と古くなるほど、給排水管や外壁の大規模修繕が必要になるタイミングが近づき、見た目の利回りだけでは測れない出費が発生しやすくなります。「築古で利回り10%」という物件情報を見ると魅力的に映るかもしれませんが、そこに修繕積立や設備更新のコストが反映されているかどうかは、資料を見ただけではわからないことが多いのです。築年数が経過した物件を検討する際は、直近の修繕履歴や今後の修繕計画がどうなっているか、管理会社や売主に確認する手間を惜しまないことが、数字に振り回されないための備えになります。

不動産投資の利回り計算方法

不動産投資の利回りは「年間収入÷物件価格×100」を基本に、実質利回りで経費まで反映させて算出します。

利回りの計算式

不動産投資の利回りには、大きく分けて表面利回りと実質利回りの2種類の計算式があります。表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」というシンプルな式で求められ、不動産情報サイトに掲載されている利回りの多くはこの表面利回りです。一方、実質利回りは「(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入諸費用)×100」という式を使い、管理費や修繕積立金、固定資産税、保険料といったランニングコストと、購入時の仲介手数料や登記費用まで織り込んで計算します。海外の投資指標でよく使われるNOI利回りも考え方は近く、NOI(Net Operating Income、実質純収益)を物件価格で割ったものです。NOI利回りは「(年間収入-運営費用)÷物件価格×100」で表され、ローン返済や税金を含めない点が実質利回りとの細かな違いです。株の利回りは配当金÷株価で算出しますが、不動産の利回りは家賃という「使用対価」を扱う点が根本的に異なります。この違いを理解しておくと、数字の意味を取り違えにくくなります。

実際の計算例

具体的な数字で見てみましょう。物件価格2,500万円、月額家賃9万円のワンルームマンションを想定します。年間家賃収入は9万円×12ヶ月で108万円ですから、表面利回りは108万円÷2,500万円×100で4.32%です。次に実質利回りを計算します。管理費・修繕積立金が月1万円、固定資産税が年8万円、火災保険が年1万円だとすると、年間諸経費は12万円+8万円+1万円で21万円です。さらに購入時の諸費用として仲介手数料や登記費用など150万円がかかったとすると、実質利回りは(108万円-21万円)÷(2,500万円+150万円)×100で計算し、87万円÷2,650万円×100の約3.28%となります。表面利回りと実質利回りの差は約1ポイントですが、金額換算では年間26万円以上の差です。この差を把握せずに「4.32%だから悪くない」と判断してしまうと、実際の手取りとのギャップに後から戸惑うことになりかねません。空室期間が発生すればさらに実質利回りは下がるため、余裕を持った試算が欠かせません。

必要利回りの設定方法

必要利回りとは、投資家自身が「最低限これだけは確保したい」と定める利回りの基準値です。これは市場相場の利回りとは別に、自分のローン条件やキャッシュフロー目標から逆算して決めるものです。設定の目安としては、まずローンの金利と返済期間から年間返済額を算出し、そこに諸経費と手元に残したい利益を上乗せして、必要な年間収入を導き出します。例えば金利2.0%、返済期間30年、借入額2,400万円であれば年間返済額はおおよそ106万円前後になり、これに諸経費21万円、手元利益として20万円を加えると年間147万円ほどの収入が必要という計算になります。これを物件価格2,500万円で割ると、必要利回りは約5.9%です。この数値が実際の物件の実質利回りを上回っていれば、資金計画上は無理のない投資と判断できます。逆に必要利回りに届かない物件を選んでしまうと、毎月の持ち出しが発生し続ける事態にもなりかねません。自分の必要利回りをあらかじめ数値化しておくことで、物件広告の利回り表示に振り回されず、冷静な比較検討ができるようになります。

利回りを考慮した物件選びのポイント

利回りは数字の高さより「その数字が成立する理由」を確認して選ぶことが肝心です。

高利回り物件の特徴

計算方法を押さえたところで、次は実際に物件を見比べる際の視点に移りましょう。表面利回りが10%を超えるような物件には、たいてい理由があります。代表的なのは築古の木造アパートで、地方都市の駅から徒歩15分以上離れた立地に多く見られます。建物価格が土地価格に対して低く評価されるため、家賃収入との比率だけを見ると利回りが跳ね上がって見えるのです。また、既存の入居者がいる「オーナーチェンジ物件」で、実は近い将来に大規模修繕を控えているケースも少なくありません。屋上防水や外壁塗装で数百万円単位の出費が発生すれば、実質利回りは一気に目減りします。ほかにも、周辺相場より高い家賃設定で入居者を確保している物件は、退去後に同水準の家賃で次の入居者が決まらず、想定利回りが絵に描いた餅になることもあります。不動産の利回りを見るときは、この「なぜ高いのか」を自分の言葉で説明できるかどうかが判断の分かれ目になります。説明できない高利回りは、いったん保留にする姿勢が安全です。

低利回りでも購入すべき物件の条件

一方で、表面利回りが4%台や5%台と一見物足りない物件でも、購入価値が高いものは存在します。典型例は東京23区や大阪市中心部など、賃貸需要が安定しているエリアの築浅マンションです。空室期間が短く、家賃下落も緩やかなため、長期で見ると収支が安定しやすい傾向があります。たとえば都心の駅徒歩5分圏内、築10年以内のワンルームでは、表面利回り4.5%程度でも入居率が95%を超えることが珍しくありません。この場合、実質利回りと表面利回りの差が小さく、想定していた収益からの乖離が少なくて済みます。さらに、将来的な資産価値の維持や売却のしやすさも考慮すべき点です。数字だけを比べると見劣りしても、空室リスクの低さや流動性の高さという「見えない収益力」を持つ物件は、長期保有を前提とする投資不動産として十分に検討する価値があります。利回りだけで切り捨てず、収支の安定性まで含めて総合的に判断する姿勢が求められます。

エリア選びの重要性

物件そのものの条件と並んで、エリア選びは利回りの実態を左右する要素です。同じ築年数・同じ間取りでも、人口が増加しているエリアと減少が続くエリアでは、5年後10年後の家賃水準がまったく異なります。国勢調査などの人口動態や、再開発計画の有無、大学や企業の移転計画といった情報は、賃貸需要の先行きを読むうえで参考になります。たとえば再開発によって新駅ができる予定のエリアでは、現時点の利回りが低めでも、将来の資産価値上昇が期待できる場合があります。反対に、生産年齢人口の減少が続く地方都市では、表面利回りが8%を超えていても、数年後には空室が埋まらず利回りが半減するリスクもあります。「このエリアなら10年後も入居者が見つかるか」を自分に問いかけてみると、判断の軸がぶれにくくなるはずです。利回りの数字だけでなく、エリアの将来性まで含めて評価することが、赤字転落を避ける実践的な物件選びにつながります。

不動産投資におけるリスクと注意点

高利回り物件は空室・修繕費リスクが高く、実質利回りと入居率を必ず確認すべきです。

高利回りのリスク

不動産投資の利回りが高い物件には、たいてい理由があります。表面利回りが10%を超えるような物件を見つけると心が動くものですが、そこにはリスクが価格に反映されていると考えるのが自然です。たとえば地方都市の築古アパートで表面利回り15%と表示されていても、駅から徒歩25分、周辺に大学や工場もなく人口が減少傾向にあるエリアだった場合、入居者を集めるのは簡単ではありません。空室が続けば実際の収入は想定を大きく下回り、利回りは数字だけの話に終わってしまうのです。

また、高利回りの裏には老朽化した建物や旧耐震基準の物件が隠れている場合もあります。購入直後に屋根や外壁の修繕が必要になり、数百万円単位の出費が発生した、という話は珍しくありません。利回りだけで判断せず、なぜその物件が高利回りなのかという背景を必ず調べる姿勢が欠かせません。不動産投資の利回りは「高いほど良い」という単純な話ではなく、リスクとリターンのバランスで捉えることが投資判断の土台になります。

空室リスクの考慮

利回りの計算は、満室であることを前提にしているケースがほとんどです。しかし実際の運用では、入居者の退去から次の入居者が決まるまでの空室期間が必ず発生します。この期間の家賃収入はゼロになるため、想定していた利回りとの差が生まれる最大の要因になります。

たとえばワンルームマンションで家賃6万円、平均空室期間が2か月続いたとすると、年間で12万円、つまり年間賃料収入の約17%が失われる計算です。表面利回り8%の物件でも、この空室分を差し引くと実質的な利回りは6%台まで落ち込むことも珍しくありません。特に単身者向けの物件は入退去の頻度が高く、地方や郊外では入居希望者を集めるまでの期間が長引く傾向があります。

購入前には、その地域の賃貸需要や競合物件の空室状況を確認しておきたいところです。周辺の賃貸サイトで似た条件の部屋がどれくらいの期間掲載され続けているかを見るだけでも、空室リスクのおおよその目安がつかめます。「この物件、本当に埋まるのだろうか」と不安になったときは、感覚ではなくデータで確認する習慣をつけておくと安心です。

経費や維持管理費の影響

不動産投資では、家賃収入からさまざまな経費が差し引かれます。固定資産税や都市計画税、火災保険料、管理会社への委託費、共用部の清掃費、修繕積立金などが代表的な項目です。これらを合計すると、年間賃料収入の15〜20%程度になることが一般的とされています。表面利回りだけを見て収支を計算すると、こうした経費が抜け落ちてしまい、実際の手残りとの間に大きなズレが生じます。

築年数が古い物件ほど、この影響は顕著になります。給排水管の交換やエレベーターの修繕など、築20年を超えると数十万円から百万円単位の大規模修繕が発生することもあります。修繕積立金の残高が不足しているマンションでは、突発的に修繕費の一括請求が来る可能性も否定できません。

利回りを検討する際は、表面上の数字ではなく、経費を差し引いた後の実質的な収益を基準に考える必要があります。物件購入前に管理費や修繕積立金の履行状況、過去の修繕履歴を確認しておくことで、想定外の出費に慌てずに済むはずです。

不動産投資の利回りとは?理想と最低ライン・計算方法も解説

理想は表面利回り8〜10%、最低ラインは実質利回り3〜4%を目安に判断しましょう。

ここまでリスクや注意点を見てきた読者のなかには、「結局、何%あれば買っていい物件なのか」を知りたい方が多いのではないでしょうか。不動産投資の利回りとは、投資した金額に対して年間どれだけの収益が得られるかを示す指標です。ただ、数値に唯一の正解はなく、エリアや物件タイプ、融資条件によって適正値は変わります。とはいえ判断の軸がないと物件を比較できませんので、ここで一つの目安をお伝えします。

理想の水準としてよく語られるのが表面利回り8〜10%です。これは想定利回りに近い数字で、満室経営を前提とした計算にすぎません。実際には空室や修繕費が発生するため、実質利回りに直すと4〜6%程度まで下がるケースが一般的とされています。つまり表面利回り10%の物件でも、経費を差し引いた手取りベースでは半分近くまで目減りすることも珍しくないのです。

最低ラインとして意識したいのは、実質利回り3〜4%です。これを下回ると、ローン返済や固定資産税、管理費を支払った後にほとんど手元に残らない、いわゆる薄利経営に陥りやすくなります。特に融資金利が2%台後半から3%台に乗る局面では、利回りとの差(イールドギャップ)が縮まり、キャッシュフローが圧迫されやすい点に注意が必要です。

計算方法自体は前章までの内容で理解が進んでいるはずですので、ここでは判断の型だけ整理します。物件情報に載っている利回りが表面か実質か、まず表記を確認する。次に空室率や修繕積立を自分で加味し、実質値に引き直す。最後にその数値が最低ラインである3〜4%を超えているかを確認する。この三段階を踏むだけで、見かけの数字に振り回されるリスクはかなり減らせます。

東京23区内中古マンションの表面利回りは3.3%〜4.0%前後が目安

東京23区の中古マンション投資は、表面利回り3.3%〜4.0%前後以上を判断基準の目安にしましょう。

東京23区は全国の中でも地価と賃料水準が高く、不動産の利回りは他の地域より低く出やすいエリアです。区分マンションで表面利回り3.3%〜4.0%前後を下回る物件が多く出回っているのも、この地価の高さが理由です。ただし利回りが低いからといって、投資対象として避けるべきとは限りません。空室リスクが低く資産価値が落ちにくいという強みがあるからです。

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一つの目安として、23区内の中古区分マンションでは表面利回り3.3%〜4.0%前後が現実的なラインとされています。たとえば物件価格2,500万円、月額家賃9万円のワンルームであれば、年間賃料収入108万円を物件価格で割った表面利回りは約4.3%です。この数字だけを見れば悪くない水準に思えますが、管理費・修繕積立金・固定資産税などの諸経費を差し引いた実質利回りは、2〜3%台まで下がるケースが少なくありません。

「利回りが低いのに本当に選んで大丈夫なのか」と不安になる方も多いはずですが、23区は人口流入が続くエリアが多く、空室期間が短い分、収入の安定性で他地域の高利回り物件を上回ることがあります。表面利回りの数字だけで判断せず、賃貸需要の強さと合わせて見極めることが欠かせません。

高利回り物件は投資家にとって都合の悪い条件の場合もある

高利回り物件は、売り手が売りにくい弱点を数字で覆い隠している場合があります。

表面利回りが8%、10%と高く表示された物件を見ると、思わず心が動いてしまうものです。ですが不動産の世界では、高利回りにはたいてい理由があります。売主や仲介会社からすれば、なかなか買い手がつかない物件ほど、利回りという数字を強調して売り出したくなるのです。つまり高い利回りは魅力の証明ではなく、裏を返せば「なぜこの価格でも売れ残っているのか」という問いへの答えでもあります。

具体的には、駅から徒歩20分以上離れている、地方の人口減少エリアにある、築40年を超えて再建築が難しい、事故物件に該当するといった条件が隠れているケースが少なくありません。こうした物件は入居付けに時間がかかり、空室期間が長引きやすいため、表面利回りが実質利回りを大きく上回ってしまいます。たとえば表面利回り10%と書かれていても、実際の稼働率が70%程度にとどまれば、実質的な収益力は7%前後まで下がる計算になります。さらに老朽化した設備の交換や配管の修繕が重なれば、手取りはもっと目減りするでしょう。

家賃設定にも注意が必要です。相場より高い家賃を強引に設定して利回りを見栄えよく演出し、実際に入居者がつく際は値下げ交渉が前提になっている物件も存在します。この場合、購入前に提示された想定利回りと、購入後の実質利回りとの間に大きな差が生まれてしまいます。

高利回りという言葉に飛びつく前に、なぜその数字が実現しているのかを一つずつ確認する姿勢が欠かせません。立地条件、築年数、周辺の家賃相場、直近の入居率といった情報を照らし合わせることで、都合の悪い条件が隠れていないかを見極められるようになります。

築年数があまり経過していない中古(築5年以内)物件

利回りが低めでも、築5年以内の中古は修繕費が少なく長期安定収益を狙えます。

高利回り物件のリスクを踏まえたうえで、あえて低利回りに見える築浅の中古物件に目を向けてみましょう。築5年以内の物件は新築時の設備がほぼそのまま残っており、給湯器やエアコン、キッチン設備といった消耗品の交換リスクが当面低いのが特徴です。表面利回りだけを比べると新築や築古の高利回り物件に見劣りしますが、実質利回りで計算し直すと差が縮まる、あるいは逆転するケースも珍しくありません。

たとえば築3年のワンルームマンションで表面利回り4.5%、修繕積立金や管理費が月1万円程度の物件と、築20年で表面利回り7%だが数年内に大規模修繕を控える物件を比べた場合、後者は一時金負担や賃料下落のリスクを織り込む必要があります。築浅物件は新築プレミアムが剥がれた後の価格帯で購入できるため、取得価格が抑えられている点も見逃せません。

家賃相場も新築時からの下落幅が小さく、入居付けの面で有利に働きやすいでしょう。ローン審査においても金融機関からの評価が下がりにくく、耐用年数の長さから融資期間を確保しやすい傾向があります。数字の高さだけで飛びつかず、築年数と設備の状態、今後の修繕サイクルまで確認する姿勢が、長く付き合える投資物件選びにつながります。

まとめ

不動産投資の利回りは、表面利回りだけでなく実質利回りまで確認して初めて正しい判断材料になります。要点を整理すると次の通りです。

  • 表面利回りは目安、実質利回りで収益性を見極める
  • 東京23区の中古マンションは表面利回り3.3%〜4.0%前後が一つの目安
  • 高利回り物件には空室リスクや修繕費増などの理由が隠れている場合がある
  • 築浅物件は利回りが低めでも修繕費負担が少なく安定運用しやすい

これから物件選びを本格化させたい初心者の方や、高利回り表示の裏側を見抜く目を養いたい方に役立つ内容です。数字の裏付けや個別物件の収支シミュレーションに不安がある場合は、専門家への問い合わせを通じて具体的な確認を進めることをおすすめします。

※掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。

よくある質問

Q不動産投資の利回りの最低ラインはどれくらいですか?
A

物件タイプやエリアによって異なりますが、東京23区内中古マンションであれば表面利回り3.3%〜4.0%前後が一つの目安とされています。あくまで目安であり、実質利回りで空室リスクも合わせて判断することが欠かせません。


Q表面利回りが高い物件は本当にお得なのですか?
A

表面利回りが高いからといって必ずしもお得とは限りません。修繕費がかさむ築古物件や、空室が埋まりにくい立地の物件ほど数字上の利回りが高く見えるケースが多いためです。実質利回りや周辺の賃貸需要まで確認したうえで判断する必要があります。


Q不動産投資の利回りとはそもそも何を表す数値ですか?
A

利回りとは、物件価格に対して年間でどれくらいの収益が得られるかを示す割合のことです。表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割った単純な数値、実質利回りは経費を差し引いた後の数値を指します。

表面利回りは「年間家賃収入÷物件価格×100」で計算します。実質利回りはこれに加えて管理費や修繕積立金、固定資産税などの年間経費を差し引き、購入時諸費用を物件価格に加算して計算するとより実態に近い数値になります。必要利回りを設定する際は、ローン返済額や希望する手残りも加味して逆算するとよいでしょう。


Q利回りだけで物件を選んでも失敗しませんか?
A

利回りの数字だけで判断すると、空室リスクや修繕費の増加で赤字に転落する可能性があります。低利回りでも駅近や賃貸需要が安定したエリアの物件であれば、長期的に安定収益を得やすい場合があります。利回りはあくまで比較の入り口とし、エリア特性や築年数、管理状態も併せて確認することが大切です。


監修・運営

山﨑天馬の顔写真

山﨑天馬

株式会社HI's 代表取締役/宅地建物取引士

宅地建物取引士。不動産業界歴10年。首都圏・関西圏の投資用不動産の売買・運用を中心に、投資家・オーナーの意思決定を数多く支援してきた。本メディアでは、公的データと現場の実感を突き合わせ、中立的な視点で記事を監修している。

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